田舎の駅舎
見渡す限り田んぼが広がり、その縁は林と山に囲まれている。
日は既に傾いており、黄金色の夕日が蚊柱を不愉快に照らしつけて、その先には駅舎が見える。
赤い屋根に焦茶色の壁、中央上部に丸い時計を掲げたその駅舎は、おれが今日中に家に帰るための最後の手段なのかもしれない。
果たしてその路線がなんなのか、なんという駅なのか、おれの家へと続いているのかは皆目見当もつかない。
ただおれはそこに向かわなければいけない。それ以外に道標がないので。
バッドエンド
筋肉質な男が水平の台に磔にされている。おれはそれを少し高い場所から見ている。
磔台はクロスした廊下の交差点に位置しており、その奥には仮面を被った女性が立っている。女性は青いローブを身に纏い、顎に手を当ててなにか考え込むような仕草をしている。仮面の口元は角度によっては笑っているように見える。
男の右腕のそば、おれから見て男の左側に円形の回転鋸が現れる。それはゆっくりと男に近付き、その間は悲壮感の漂うBGMが流れている。おれの視点は定点カメラのように固定されている。
やがて鋸が男の腕に達し、肉と骨を削り取る。男の腕が体から離れると、西洋風の鍵付きの箱が現れる。
腕がひとりでに箱に入る。箱が閉じると鍵穴から血のように赤黒い霧が出てくる。
段々とあたりが暗くなってくる。暗く、暗く、最後には一切の光のない漆黒となったが、その中で磔の男と仮面の女、腕が入った箱だけが浮かび上がるように、もとの光を反射している。
箱から出る赤黒い霧は禍々しく渦をまき、その霧に被さるように白文字で「END」と浮かび上がる。