路傍生活者

ラブリーでファンシー

北海道に行くまでに暇だから書いてたやつ

午前4時50分。いつもならゲームを終えてダラダラとブログに下書きを積み上げる無為な時間帯だが、漏れなく今日も同じことをしている。

それでもどこかいつもと違う不安にドキドキしているのは、今から成田空港に向かって札幌まで飛ぶ予定があるからだ。11時のミーティングに寝坊する男には7時台発のフライトは荷が重く、こうして"いつもの"生活リズムで無理なく移動しようとしている。つまるところ徹夜だ。朝帰りの電車の寝過ごし率99%を誇る俺だが、今回は終点が目的地なのでその辺りの心配も(おそらく)不要だろう。

ところで俺は遠出が大の苦手だ。いつもの生活が定型化されていないから旅先で何が必要になるかも分からないし、ましてや他人とタイムスケジュールを共にしながら過ごす状況はストレスフルで、できれば行きたくないものだが、今回の付添人は俺のポンコツ具合を完璧に把握したスパダリキチガイ仲間なので(おそらく)問題がない。

先ほどから希望的観測の連続だが、パーカーの上にいつもの上着、出がけに思い出して防水スプレーを吹きかけたお祈りスニーカーという舐めた装備で通称試される大地をサバイヴできるはずがない。さっき少し気温を調べたが氷点下だった。まあでも必要なものは現地調達できるだろう。いつ買うかの問題でしかない。

そもそも俺は舐めた態度でないと物事に取り掛かれないという悪癖を持っている。とにかく見積もりが苦手だからだ。舐めてかかって捻り潰されて、それでも根性で掻い潜ろうという気持ちが湧いたものだけ続けることができる。その点旅行なんてのはただの消費活動なのだから、根性なんてなくても金で解決できるだろう。俺はこの悪癖をのさばらせておくために収入増を望み続けてきた。今こそ財布の紐を目一杯緩めるべき時である。いわゆるADHD税だ。

と、この文章を書いている間に乗り込んだ電車は既に津田沼に到達している。千葉方面には滅多に行かないから、寝過ごし以外でこの駅を通過するのは稀だ。

これ以上旅先に思いを馳せようとしても、モノローグは全く関係ない情報を絶え間なくくっちゃべっている。頭の中の多動おしゃべり悪魔の言葉を選別するのも疲れてきた。大体こいつは外向きじゃない。会議中も雑談中もこいつがキーキーキーキー金切り声を上げるから俺はずっと難儀しているんだ。それを文字に起こしたところでまともなブログに仕上がるはずがない。当然ここには実際のモノローグに対する脚色があり、だから筆が遅いのだが、今こうしているようにとめどない独り言をそのまま指に流すとどこで句読点を打っていいのかも分からなくなってくる。これはなんの日記なんだ?

そうこうしているうちに父親の前の部屋があった駅に着いた。学校を辞めてしばらく経った頃、俺は出社のために父親の部屋に泊めてもらっていた。あれからもうそろそろ2年くらい経つらしい。時の流れはえげつないな。

去年あったことを思い出そうとしても時系列がぐちゃぐちゃで、いつ何があったか思い出せない。19歳でライフイベントから秩序が失われたから成人式を基準にアジャストするしかない状況だ。行っても行かなくてもいいと思っていた成人式だが、あの後から何人かの同級生から連絡が来て、ちょっと飲みに行くとか、一緒にゲームするとか、なんかの相談に乗るとかが発生しており、村八分を自認していても多分自意識過剰だから気にせず行くといいかもねと思う。

成人したとて大人がなんなのかってのは全然分からない。最近入り浸るコミュニティには大人っぽくない大人しかいないし、そういう大人に対する幻想もそろそろ潰えてきたし、このままでっかい子供になんのかなぁとか、あるいはこうやって雑に北海道に行けるのは大人なんかなぁとか、考えている。

なんか無理やりこじつけたが、今日は北海道に行くんだ、北海道のことを考えよう。いきなり失礼な話だが、北海道というか北国にはあまり住みたくないと思っている。ずっと天気悪そうだし、寒くて、家の中に閉じこもって、海も空も鈍色で、多分うつ病発症率高い。普通に過ごしてる人がほとんどだろうが、俺は多分ダメ側。

俺が北国生まれだったら、きっと空間に対して見えない壁を感じるんだと思う。吹雪か何かで安全の保証がないため外に出れないという状況は、人の力が及ばない空間が家の外に広がっているということで、それはなにか、宇宙を漂う宇宙船とか、深海に潜る潜水艦とか、そういう物の中にいるような感じがするような、気が、する。その閉塞感を持ったまま関東に出て、どこか普通の人の感性との差を感じて、今みたいにブログか何かで言語化を試みるだろう。あくまで俺ならという話だが。

北国被虐妄想を加速させながら電車は成田に到着する。ここから先はどのターミナルを使うかで降りる駅が変わるらしい。ターミナルって、なんだ?飛行機が発着するとこ?俺は第何ターミナル?ヤバい調べておくんだった。

こういう難しいのは大体一緒に行くやつに任せてるから自分でできない。ちいかわみたいにか弱い生き物なのだ。でも今は世話係がいないので自分でやるしかない...と不安になっていたが、調べたら案外すぐに出てきた、俺が乗るPeachは第1ターミナルしかないらしい。助かる。

第2・3ターミナル駅では体感8割くらいの人が降りて行った。不安になるからやめてくれ。なんかいいもんでもあるのか?

第1ターミナル駅に着いた。ホームドアが珍しいタイプだったので一応撮っておいた。

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これが本当に珍しいのかは知らんのだが。

飛行機の搭乗って毎回不安になる。なんかまだシステムがよくわかっていない。とりあえず搭乗券を発行すればいいことは分かるが、その後どうするんだっけ?てか俺は今どこにいる?

とりあえず、国際線って書いてある方に向かおうかな。あってんのこれ?廊下なが。すげー曲がってるし。あ、Peachの表示ある!てことは合ってる?俺ひとりで飛行機乗れる?

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きたーーーー!!!!はい俺の勝ち!!!雑魚乙👎

搭乗券も発行できた!この時点で出発1時間前。なんだこれ簡単過ぎる、ガキのおつかいか?

はーこれが大人ってことかもしれんな。大人は飛行機に一人で乗れるんだよ。

時間に余裕あるので喫煙所に行く。目の前のおばちゃんがさーっと入っていくのが見えたのでその後をついていく。が、なぜか自動ドアが開かない。なんだこれ、9と3/4番線か?国内線なのにイギリス行きなのか?と、思ったが、ボタンを強めに押したら開いた。恥ずかしいな。結構何回か押して首傾げちゃったよ

ほんで煙草を吸ってるんだが、ライターって持ち込みできんのか?できるといいな。よく分からんが。

空港に来ると一気に旅っぽくなる。まだ空港利用するの三度目くらいなんだけど。

こっから保安検査らしい。一旦ここでログを切る。

 

 

...再開。

保安検査を抜けてバスに乗る。乗ったはいいが、何も考えずに乗ったから合ってるのか分からない。なんかANAの方向ってないか?これ、ほんまか?さすがに俺みたいなバカの存在は想定されているはずなので係員のチェックを通った後でミスるようなことはないだろう。さすがにな?

はいはいはいANA機の横を通ってはいはいはい通り過ぎたいいですねはいはいはいPeach見えてきたねいいねいいねはいそこでストップ!はいまた俺の勝ち!舐めてんのか!?

無事搭乗。知らん人で埋まることを予想して通路側を取っているが、今のところ人が座る気配がない。出発時刻になってもついに俺一人だったので安心したが、どうやら遅れてくる集団がいるらしい。なんだよ、遅れてもいいんじゃん。飛行機とは案外仲良くなれるかもしれないな。

結局、遅れてきたカップルが俺の横に座る。こういう時大体男が謎の存在感を発揮してくるのでなんか困る。これは多分お互い自意識過剰ってことなんだろう。

乗務員の説明を一通り受けた後、飛行機が滑走路で止まる。ここにくるとなんかジェットコースターの発進前みたいなんだけど、飛びもしない速いだけの箱とは違ってなんかワクワクする。ジェットコースターは死ぬ前の緊張感なんだよな。

機体が加速して、背中がシートに押さえつけられる。人を乗せた金属の塊が浮き上がるくらいだから、きっとすごく速いんだろう。速く、速く。外の景色が吸い込まれるように機体の背後に回り込む。今一番緊張してるのは操縦してる人なんだろうな。

しばらく加速を続けると、機首が持ち上がったのだろう、足の裏に痺れるような加速度を感じる。その痺れは曲がった膝を通って腰へ、腰から背中へ、背中から頭のてっぺんへ。身体の中を駆け抜けた直後、内臓にふわりとした浮遊感を残して離陸を報せる。

この瞬間だけは少し気持ち悪い。

機体は斜め上向きにぐんぐん上昇しているのだろう。気圧の変化で耳がおかしくなる。

一定の高度を得ると、途端に窓の外が明るくなった。先ほどまで曇天の下にいた俺の目には眩し過ぎる。雲の上って毎日晴れてるんだもんな。

久々の離陸体験はこんなもんだった。2020年にタイに行って以来なので実に4年ぶりということになる。そんなにか、すごいな4年って。高校2年生だったもんな。もっと最近だと思ってたけど、あの頃一緒にタイに行った高一の後輩は今年就職だ。

やっぱり留年とか中退とかすると時間感覚がおかしくなるっぽい。

留年中退はやめときな!

👋