路傍生活者

ラブリーでファンシー

教会

つくばで生まれ戸籍を得た俺は、親が家を購入しても、離婚して引っ越しても、3度目の引越しをしても、やはりつくば市民だった。

しかし実際のところ出不精だった俺はつくばのことをあまり知らない。知っているのは出身小学校から中学校までの範囲くらいである。あとは家の前を走る国道を少し南下したところにある教会を懐かしく思うくらいだった。

一時期礼拝に通っていたその教会では、俺の記憶が正しければヤギが一頭飼われており、紙を食べさせようとして大人に止められた記憶がある。日曜の午前中に礼拝堂に集まり、その間子供はそこらで遊んでいた。大人たちが飲んでいる「葡萄酒」とされる紫色の飲料、あれはワインだったのか葡萄ジュースだったのか分からないが、あれを飲んでみたくて仕方なかった。聖書の絵本を読んでいた俺はそれがキリストの血であることを知っていたが、それと無関係に葡萄ジュースが飲みたかった。ガキなので信仰は芽生えなかったが、家にいるよりは退屈しないので日曜の礼拝はそこまで嫌いじゃなかった。

礼拝が終わると食堂のある建物へ移動し昼食を摂る。その後は子供たちで集まりそこら辺を走り回って遊んだり、韓国のハーフだかなんだかの女の子にハングルを教えてもらったりしていた。キリスト教の界隈は韓国人が多いような気がする。その間母親はその建物の二階で絵画教室のようなものに参加していたらしい。今思えば信仰を縁にした地元コミュニティとして立派に機能している。地域社会で孤立したらクリスチャンになろう。

しかしそんな教会にもいつの間にか行かなくなっていた。罰当たりなことに、牧師がセクハラで告発されたらしい。思い出話としては出来過ぎたオチで、未だに俺の記憶違いではないかと疑っていたが、検索したら最高裁まで争い刑事では無罪となったことが簡単に確かめられた。小学校入学以前のことである。

発覚から8年 牧師にも法の裁き 最高裁 国際福音キリスト教会・卞在昌氏のセクハラ認定変えず 2016年7月2日 - キリスト新聞社ホームページ